「夜間や休日に、入居していない人がビルの中をうろついているという声が入居者から寄せられた」「エレベーターや階段の共用部で、いたずらや落書きが起きている」「防犯カメラを入れたいが、テナントごとに事情が違い、何から決めればよいか分からない」。テナントビルのオーナーの方や、管理会社の担当者の方、ビル管理を任されている方から、こうした相談をよく聞きます。
テナントビルの防犯カメラを選ぶうえで大切なのは、エントランスや出入口で人物を判別できる画質を確保すること、入居者や来訪者のプライバシーに配慮して映す範囲を決めること、夜間や休日の無人時間帯でも異変に気づける通知・遠隔確認の仕組みを整えることの3点です。テナントビルは、複数の入居者と多くの来訪者が出入りする場所です。ビル全体の安全を守る設備として、共用部を中心に、入居者の理解を得ながら導入を進めることが求められます。この記事では、テナントビルの防犯カメラのおすすめの選び方として、設置場所、選び方の5つの条件、導入前の注意点、よくある質問を順に解説します。
\簡単2分で複数業者を比較・見積り/
テナントビルで防犯カメラが必要とされる理由
テナントビルは、オフィスや店舗、クリニックなど、さまざまな業種の入居者が同じ建物を使う施設です。入居者それぞれが自分の区画の防犯対策を行っていても、エントランスや廊下、階段、エレベーターといった共用部は、ビルの管理者が責任を持って守る必要があります。背景には、入居者や来訪者、業者など不特定多数の人が出入りしていること、夜間や休日にビル全体が無人に近くなること、共用部は誰の目にも届きにくい場所があることの3つがあります。
日中は多くの人が行き交うため、見慣れない人が入ってきても目立ちにくく、入居者以外の人が各階まで上がってしまうことがあります。夜間や休日は、入居者の出入りが減り、ビル全体が静まり返るため、侵入や設備へのいたずら、共用部の汚損などに気づくのが遅れがちです。さらに、駐車場や駐輪場、ごみ置き場、非常階段、屋上といった場所は、人目が少なく、不審者の立ち入りや不法投棄、設備の被害が起きやすい場所です。ビルで何か起きたとき、入居者からの信頼や、ビル全体の評価にも影響します。
たとえば、夜間に共用部へ無断で立ち入られる、エレベーターや階段で設備を傷つけられる、駐輪場の自転車が盗まれる、ごみ置き場に不法投棄される、入居者から「不審な人を見かけた」と相談が寄せられる、といったケースが想定されます。映像が残っていれば、いつ誰が出入りしたかを客観的に確認でき、入居者への説明や、警察・保険会社への相談にも役立ちます。ビル全体の防犯の考え方は、ビル防犯対策の基本と実践|侵入リスクを減らす設備とポイントでも詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
防犯カメラを設置したい場所と、映し方に配慮したい場所
設置場所を考えるときは、「ビルの入口」「共用部の通路」「外周や付帯設備」の3つに分けて整理するのが基本です。テナントビルでは、ビル管理者が管理する共用部が設置の対象になります。入居者の専有部分(各テナントの室内)は、入居者の管理領域であり、ビル側のカメラで映すことは通常ありません。
設置を検討したい場所は、次のとおりです。
- ビルの正面玄関・エントランス・郵便受けや集合ポストの周辺(来訪者の出入りの確認)
- エレベーターホール・エレベーター内・階段の出入口(上下の移動の確認)
- 各階の共用廊下・非常階段・非常口(夜間や休日の侵入経路の確認)
- 駐車場・駐輪場・荷さばき場・搬入口(車両や荷物の出入りの確認)
- ごみ置き場・屋上の出入口・機械室や電気室の周辺(設備の保護と不法投棄への備え)
一方、入居者のオフィスや店舗の室内、トイレ、更衣室、授乳室、クリニックなどの受付や待合の内部は、原則として映さないようにします。共用の廊下に設置する場合も、扉が開いたときに各テナントの室内が映り込まないよう、画角を細かく調整することが欠かせません。また、ビルが道路や隣接する建物に近い場合は、通行人や隣のビル、住宅が映像に過度に映り込まないよう、画角にも配慮しましょう。クリニックなどの入居者に配慮する考え方は、クリニックの防犯カメラおすすめの選び方も参考になります。
テナントビルの防犯カメラ 選び方の5つの条件
設置場所の方針が固まったら、次は機器選びです。テナントビルで防犯カメラを選ぶときは、次の5つの条件を順に確認すると、入居者の安心とビルの安全を両立しやすくなります。
条件1:エントランスや出入口で、人物を判別できる画質と逆光への強さがあること
まず確認したいのは、画質です。万が一の際に、人物の顔や服装、持ち物が判別できなければ、不審者の確認や、トラブルの状況確認には役立ちません。フルHD(200万画素)以上を目安に、エントランスや出入口では人物の顔がはっきり確認できるかを基準に選びます。ビルの玄関は、ガラス扉からの外光で逆光になりやすい場所です。逆光に強い補正機能(WDRなど)があると、昼夜を通じて人物がつぶれずに映ります。夜間の駐車場や外周では、暗い場所でも映る赤外線(ナイトビジョン)機能があると安心です。
条件2:入居者のプライバシーに配慮し、映す範囲を限定できること
次に、プライバシーへの配慮です。画角を細かく調整できることと、特定の範囲を映さない設定(プライバシーマスク機能など)ができるかどうかを確認しましょう。共用廊下のカメラが、扉の開閉で各テナントの室内を映してしまわないよう、あらかじめ映さない範囲を設定できる機種を選ぶと安心です。設置後は、実際の映像で、室内が映り込んでいないことを必ず確認してください。小型のドーム型など、威圧感の少ない外観のカメラを選ぶと、来訪者や入居者に安心感を与えられます。
条件3:夜間・休日の無人時間帯でも気づける通知・遠隔確認ができること
テナントビルは、夜間や休日に入居者の出入りが減り、ビル全体が無人に近くなります。録画しているだけでは、被害に気づくのが翌日以降になってしまいます。動きを検知してスマートフォンや管理室に通知する機能や、外出先から映像を確認できる遠隔確認機能があれば、早い段階で対応できます。ただし、入居者の出入りが多い時間帯に通知が増えすぎると負担になるため、時間帯ごとに検知の設定を切り替えられる機種が望ましいでしょう。夜間の備えの基本は、夜間の侵入防止対策まとめでも解説しています。
条件4:複数のビルでも管理しやすく、運用の手間が少ないこと
ビル管理では、管理担当者が複数のビルを兼務していたり、管理会社が多くの物件を担当していたりすることが一般的です。そのため、すべてのビルの映像を一つのアプリや画面で確認できる構成なら、物件ごとに別々の機器を使う場合に比べて、確認の手間や見落としを減らせます。必要な日時の映像をすぐ探せる操作性、録画の保存期間が運用に合っているか(2週間〜1か月程度を目安にする施設が多い)、停電や通信トラブルでも録画が止まりにくいか、といった点も確認してください。築年数の古いビルでは、配線工事の範囲や、無線で使える機種かどうかも検討のポイントになります。
条件5:映像を厳格に管理でき、入居者への説明がしやすいこと
最後に、映像管理の仕組みです。ビルの映像には、入居者や来訪者の顔や出入りの様子が記録されます。閲覧できる人の制限(パスワード管理や権限設定)、保存期間、第三者への提供の基準を明確に決められる機器・サービスを選びましょう。入居者から映像の確認を求められたときの対応のルールを、あらかじめ決めておくことも大切です。性能がよくても管理が曖昧だと、入居者の信頼を損なう事態につながるためです。
| 条件 | 確認ポイント | テナントビルでの重要度 |
|---|---|---|
| 1. 画質・逆光性能 | 200万画素以上・逆光補正・夜間性能 | 非常に高い |
| 2. プライバシー配慮 | 画角調整・マスク機能・室内の映り込み防止 | 非常に高い |
| 3. 通知・遠隔確認 | 動体検知・スマホ通知・時間帯ごとの設定 | 高い |
| 4. 運用のしやすさ | 複数物件の一元管理・操作性・保存期間 | 高い |
| 5. 映像の管理 | 閲覧権限・提供基準・入居者への対応 | 非常に高い |
導入前に確認したい注意点と運用ルール
機器を選ぶ前後に欠かせないのが、入居者への説明と、費用や映像の取り扱いに関するルールづくりです。テナントビルでは、ビルのオーナーや管理会社、入居者という複数の立場の人が関わります。設置の目的が曖昧なまま運用を始めると、入居者から不安や反発の声が出ることもあります。目的を明確にし、入居者にも丁寧に伝えることが、後のトラブルを防ぐ近道になります。次の順序で進めると、スムーズです。
- 設置目的を、不審者への備え、共用部の設備の保護、夜間・休日の侵入の確認、トラブル時の状況確認などに限定して明確にする
- 共用部のうち、重点的に映す場所と、映さない場所(各テナントの室内、トイレなど)を決める
- 入居者に、設置の目的と映す範囲、映像を見られる人を、文書や説明会で事前に知らせる
- ビルの入口や共用部に「防犯カメラ作動中」の表示を設け、問い合わせ先を明記する
- 閲覧者・保存期間・開示の基準を、規程として文書化する
なお、防犯カメラの設置や運用にかかる費用は、共益費に含めて入居者が負担する場合や、オーナーが負担する場合など、ビルによって異なります。賃貸借契約書や管理規約の内容を確認し、必要に応じて入居者への説明や、契約上の手続きを行いましょう。また、カメラだけに頼らず、エントランスの施錠や入館の管理、夜間のセンサーライト、定期的な巡回、警備会社との連携といった対策を組み合わせると、より効果的です。ビル全体の保険の内容や、保険会社が求める防犯設備の条件もあわせて確認すると安心です。入居者それぞれの専有部分の防犯は、会社の防犯対策 事務所・オフィスで今すぐできる具体例まとめで解説しており、入居者への情報提供にも活用できます。
失敗しない防犯カメラの探し方
ここまで見てきたとおり、テナントビルの防犯カメラは、ビルの規模や階数、築年数、入居しているテナントの業種、出入口の数、駐車場の有無によって、必要な台数も機能も工事の内容も大きく変わります。数階建ての小規模なビルと、エレベーターや複数の出入口を備えた大きなビルとでは、最適な構成が異なりますし、築年数の古いビルでは、配線工事の負担も変わってくるためです。こうした事情から、1社だけで決めず、複数のメーカー・サービスを比較して選ぶのが確実です。
比較の際は、本体価格だけでなく工事費・保守費用・月額費用を含めた総額、画質や逆光への強さ、プライバシーマスク機能の有無、通知・遠隔確認機能、複数物件の一元管理への対応、故障時の対応など設置後のサポート体制をそろえて確認すると判断しやすくなります。ただ、これらを一つずつ調べて見比べるのは、日々のビル管理や入居者対応に追われる担当者にとって大きな負担です。そこで活用したいのが、防犯カメラを一覧で比較できるサイトです。条件に合うカメラを効率よく絞り込めるため、検討の時間を大きく短縮できます。
テナントビルに合う防犯カメラを、まとめて比較したい方へ
画質・逆光性能・通知機能・複数物件への対応・費用を一覧で見比べて、ビルに合う防犯カメラを効率よく探せます。
\簡単2分で複数業者を比較・見積り/
防犯カメラの選び方全般を学びたい方は、防犯カメラの選び方・おすすめのカテゴリー記事で、業種別の解説を確認できます。実際の設置工事を依頼する業者を探す場合は、防犯カメラ設置業者の記事もご活用ください。
テナントビルの防犯カメラに関するよくある質問
- 入居者の同意は、必要ですか?
-
共用部への設置は、ビル管理者の判断で行えることが多いですが、入居者への事前の説明は大切です。設置の目的、映す範囲、映像を見られる人、保存期間を、文書や説明会で伝えておくと、後のトラブルを防ぎやすくなります。費用を共益費に含める場合や、契約や規約に関わる場合は、必要な手続きを確認してください。
- エレベーターの中にも、防犯カメラを設置してよいですか?
-
エレベーター内は、共用部として設置されることが多い場所です。ただし、利用者が圧迫感を覚えないよう、小型のカメラを選ぶなどの配慮が大切です。「防犯カメラ作動中」の表示を設けて、利用者に知らせておきましょう。
- 入居者から、映像の確認を求められたときはどうすればよいですか?
-
映像には、他の入居者や来訪者の情報も含まれるため、誰にでも自由に見せることはできません。あらかじめ、閲覧できる人、確認が必要な場合の手続き、警察などへの提供の基準を規程に定めておき、その規程に沿って対応することが大切です。
- 築年数の古いビルでも、防犯カメラを設置できますか?
-
設置できる場合が多いです。配線が難しい場所には、無線で接続できるタイプや、電源工事が少なくて済むタイプを選ぶ方法があります。建物の構造によって最適な方法が変わるため、複数の業者に現地を見てもらい、見積もりを比較すると安心です。
- 映像はどのくらいの期間保存すればよいですか?
-
決まった期間があるわけではありませんが、2週間〜1か月程度を目安にしている施設が多くあります。保存期間が長いほど録画機器の容量が必要になるため、ビルの規模や運用方針に合わせて決め、規程に明記しておきましょう。被害やトラブルが発生した場合は、該当する日時の映像を必ず保存しておくことが大切です。
- 防犯カメラの導入にかかる費用はどのくらいですか?
-
費用は、台数、録画機器の種類、配線工事の規模、月額のサービス利用料の有無などによって大きく変わります。本体価格だけで判断せず、工事費や保守費用を含めた総額で比較することが大切です。複数の候補を一覧で比較できる比較サイトを活用すると、費用感を把握しやすくなります。
まとめ
テナントビルの防犯カメラは、入居者や来訪者のプライバシーに配慮しながら、共用部を中心にビル全体の安全を守る構成を選ぶことが大切です。入居者や来訪者、業者など不特定多数の人が出入りしていること、夜間や休日にビル全体が無人に近くなること、共用部に人目の届きにくい場所があることといったテナントビルならではの課題を踏まえ、エントランス・エレベーターホール・共用廊下や非常階段・駐車場や駐輪場・ごみ置き場を中心に設置し、各テナントの室内やトイレなどは映らないよう配慮して計画しましょう。
選ぶ際は、エントランスや出入口で人物を判別できる画質と逆光への強さがあること、入居者のプライバシーに配慮して映す範囲を限定できること、夜間・休日の無人時間帯でも気づける通知・遠隔確認ができること、複数のビルでも管理しやすく運用の手間が少ないこと、そして映像を厳格に管理して入居者への説明がしやすいことの5点が目安になります。機器選びで迷ったときは、複数の防犯カメラを比較して検討するのが近道です。まずは比較サイトで、ビルの規模と環境に合うカメラの候補を絞り込んでみてください。
\簡単2分で複数業者を比較・見積り/

